■多段式平釜煎ごう塩
■立体濃縮式天日塩・煎ごう塩
■深層海水塩
■イオン交換膜式煎ごう塩
■輸入天日塩・岩塩
■再生加工塩








排気塔


塩焚竈A



塩焚竈B



藻塩のかん水造り


塩焚小屋


天日干しによる乾燥

古代から我が国では、海辺に暮す人々は海水や海藻を煮つめてにがり成分をいっぱい含んだ美味しい塩を自ら造り、大切なミネラルの補給源としていたようで、煎ごうに使われた多くの土器が日本各地で出土されています。

戦後間もない頃までは、私の父親も山あいにある家から10kmも離れた那佐湾で汲み採った海水を、竹で造った樽に入れて荷車で運び、ブリキでこしらえた平釜に注いで村人達と薪で焚いていたと、近所の方々から聞いています。



日本の塩造りの歴史

「藻塩焼き」はずっと逆のぼった弥生時代からの日本最古の製塩法といわれ「藻塩」は平安時代には数々の和歌や万葉集にも詠まれるなど、大変由緒あるお塩です。その製法の実体は明らかではありませんが、天日に干した藻を焼いたり海水をかけたりして濃縮の工程に利用し、できたかん水(濃い塩水)を土器で煎ごうしたという説が有力です。
また、一説によると藻塩焼きは大陸から船でやって来た海士(あまし)達により伝えられ徐々に全国に広まっていったといわれています。



(注)極上かいふ藻塩古式「藻塩焼き」にならってかん水を作り、さらに「平釜式」でじっくりと焚き込んで造った自然塩です。

島国日本では塩造りは容易であると思われがちですが、土地も狭く多雨多湿な気候風土は、海水を自然の力だけで結晶化させるには多大な時間と労力を必要とするため意外と大量生産には向いてなかったようです。
そこで効率よく塩を結晶化させために、まず塩分濃度が18度近くあるかん水を造ることが大変重要な工程であり、年代ごとにそのかん水の採り方も変化し製塩法も変わってゆきました。

まず、弥生時代には先程登場した「藻塩焼き」の方法で、江戸時代になり「揚浜式塩田」、昭和初期まで永く続いた「入浜式塩田」そして昭和の初期から20年しか許されなかった「流下式塩田」ですが、1971年に「塩業近代化臨時措置法」が制定されて専売制となったのをきっかけとして塩田制を全て廃止し、それに変わって「イオン交換膜式」を採用することで低コスト大量生産を実現し塩業は日本政府の財源となりました。

そして国により指定された7社以外は自由に塩を造れなくなり、その結果ミネラルに特徴のある自然塩は私達の前から姿を消すことこととなりました。

消費者が選ぶ塩ではなく、一方的に与えられた塩が一般家庭や学校給食で使用されるようになりましたが、1997年に専売制が廃止になったのをきっかけに、海水由来成分がバランスよく保たれた自然塩や天然にがりが再び製造できるようになり、最近何かと脚光を浴びるようになりました。

私達が現在このように手造り塩に情熱を傾けられるのもそういった先輩達の努力のたまものであると日々感謝する次第です。



最近の自然塩について

自然塩はきれいな海水を自然の風や太陽熱など、なるべく自然の力で造られることが理想ですが、なにしろ1tの海水からわずか30kg程度の結晶しかできないわけですから、いかに効率良くかん水を採る(採かん)かということが重要になってきます。
自然塩はその採かん方法結晶化の方法で決まってくると思います。

■多段式平釜煎ごう塩

焼きものの登り釜を思わせるような多段式平釜は昔から日本各地で「平釜式」として用いられていて、複数の予熱釜蒸発釜からなり、薪の火力で上段のほうにある予熱釜で水分をある程度とばしてかん水を作り、一番下段の蒸発釜で時間をかけてじっくりと結晶化させ、最後に天日干しにしてつくられるお塩です。
この方法は製造段階において余計な工程が入らないので衛生面に優れ、また管理がしやすく手造り風の小規模製塩にむいています。
釜の形や素材、火力調整などにより結晶の形が違いますが、時間をかけてじっくり造るため海水由来成分を多く含んだ柔らかいフレーク塩凝焦晶塩などができます。
(注)当店の「海部乃塩」「極上かいふ藻塩」はこの部類に入ります。

■立体濃縮式天日塩・煎ごう塩

竹の枝などを吊るした枝状架台に海水をかけて採かんする流下式や、架台にかけたネットに海水を噴霧したり流したりしながら時間をかけて濃縮し、そのかん水を天日で干してじっくり結晶にしたり、煎ごうしたりして造られるお塩です。
架台は各地で独特の立体型を考案しつくられています。

天日塩は自然の力を利用した典型的な自然塩といえますが、かん水から結晶化する際に長時間泥や砂の上で蒸発させる場合はミネラルが泥中に吸収される可能性が考えられます。

■深層海水塩

いわゆる海洋深層水とよばれる深層海水を原料にした天日塩や煎ごう塩ですが、深層海水特有のミネラルはそのにがりに移行してしまい、結晶の表面に付着するにがり成分は表層海水から造られた結晶とさほど差はないと思われます。
むしろ、気になるのは濃縮法で、大量生産のための逆浸透膜(RO膜)を使用している場合です。
市販されているミネラルウォーターの深層水を作る際にまず、深層海水をRO膜を通して淡水を取り出しますが、その際に残った淡水以外のものが濃縮されたかん水になるわけです。
専門家によりますと、淡水とその他を分ける程のかなり細かいフィルターを通すわけだから、硫酸カルシウムをはじめとする多くのミネラルがフィルターに詰まり、海水由来のミネラルバランスが損なわれる可能性が強いと言われています。
(注)市販の深層水のミネラルウォーターは真水に少量の深層海水やそのにがりを入れたものが多いそうです。

■イオン交換膜式煎ごう塩

自然海水を使用していますが、イオン交換膜と電気エネルギーを利用してかん水を真空式蒸発装置で煮つめて作られた塩で塩化ナトリウムが99%以上の高純度な精製塩といえます。
私達の生活用品を作る為のソーダ工業をはじめとする工業用にも多く使われています。

■輸入天日塩・岩塩

岩塩は我が国では採れないので輸入塩となります。採出国のフランスや中国では料理用として使用されることから日本でも肉のステーキなどに最適のミネラルリッチ塩として重宝がられますが、ミネラルは塩の表面に付着する性質があり、結晶の中には決して含有されないということから岩塩の場合は表面のにがり成分は地中に逃げてしまっているので、塩化ナトリウム99%前後の食塩のかたまりと同じだそうです。
色の付いた岩塩の色は泥や酸化した鉱物の色ということでしょうか。
また輸入天日塩もしかりで、砂の上に結晶化した天日塩を泥と共にブルドーザーでかき集め野積みにしているような状態で、海洋汚染の多い海外での衛生管理までチェックできないのが実情でしょう。

■再生加工塩

大量生産を目的として、前出での岩塩や輸入天日塩などを原料にして、地元の海水やにがりを混入してかん水を作り、煎ごうして作られた再生加工塩を国産の天然塩と称して売られている場合もあります。



本物の自然塩の選び方

専売制の廃止と同時に輸入塩も自由化され日本国内で塩のブランドは1000種類以上にも及ぶといわれていますが、その中で本物の自然塩といえるのは
『汚染されていないきれいな海水を100%使用し、なるべく時間をかけて天然の風味を損なうことなく自然の力でじっくりと結晶化させたお塩』
ということでしょうか。

チェックポイント

1. 原材料や生産地
・原材料はきれいな海水であること
・海水の取水場所が明確であり付近に大工場や大規模住宅開発がなく、海洋汚染の心配がないこと
・大きな河川が取水場所付近にないこと

2. 製造方法
海水の濃縮方法や結晶化の方法が明確なこと

3. 栄養成分表が表記されていること
ナトリウム量の約2.54倍が食塩相当量の目安です。

4. 製造者や連絡先が明確であること
作り手の顔がわかるような自然塩をおすすめします。

最後に、自然塩は限りなく白い結晶なのだということを覚えていて下さい。
(例外:藻塩は海藻のヨード分を含むので薄茶色をしています。)

にがり成分を多く含むので黄色いとか茶色とか灰色であったりすることは考えられません。
それらは製造過程で混入した竹や木や泥や焚きぼこりの色である可能性が高いです。